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日々の皿

2015年をおさめる夕べ/12月19日(土)の食卓 晴れ

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まぐろカマ







いつもテーブルの前の席に座っている人が東京駅に向かうタクシ

ーに便乗する。

「晴れてよかったね」「熱海に着いてみないとわかんないよねえ」

浮かぬ顔。そりやぁ、そうだけど、晴れるよ、ぜったい。

市場で降ろしてもらう。今夜はお世話になりっぱなしのIさんと、

Tちゃんが遊びに来てくれる。

2015年をおさめる夕べ。

いつもは献立の半分くらいを決めて、あとは市場を見て歩くのだ

けど、今日はめずらしくほぼ決まっている。

Iさんは明石の人だから、あなご。Tちゃんは江戸っ子だから、と

いうわけでもないけれど、のみに行けば必ずマグロブツを注文す

るほど好物だから、マグロブツ。ししゃも酒のための、オスのし

しゃも。あとは海老芋や青菜をちょいちょい。

まずは穴子の大水に向かう。

ここのご主人はまったく正直な人で冬場に穴子を買いに行くと、

「今の時期は脂はのっていませんよ」と必ず言う。こちらが困っ

た顔をしていると「うちもこんなこと言ってちゃ商売にならない

んですけどね」とまじめな顔で付け加える。

それでも今までぱさぱさの穴子にあたったことはないから不思議。

明石の穴子は入っていますか?と訊ねると「たぶん・・築地中さ

がしてもないでしょうねえ」と遠い目をしている。

「いつも大きさどのくらいでしたっけ?」LLサイズをいただいて

るけど・・今日は穴子丼につかうほどのを、というと、水槽に手

を入れて取り出したのは、ブルーのネットのなかでうねっている

小さな可愛い目をしたたくさんの穴子。

「これでだいたい一匹100gですね。」

なんとなくピンとこない。大きめの穴子をみせてもらうと活力も

ありそうだし、体が大きい分まだ脂も残っているというから、そ

れに決めた。

「大きいのはさばく時に暴れるんで、絞めてから時間を置きたい

んですよ。」はい。では一時間半後に。

お次はマグロ。この間おいしかったマグロの店に行ったけれど、

よさそうなのがなかったから、石時に向かう。

ブツはないけれど、ピンク色の切り口をさらしたカマがふたつ並

んでいる。

お刺身でも大丈夫ですか?「もちろん。このマグロ食べたらうま

くて死んじゃうよ。」それでは、死んでみます!ふたつともくだ

さい。「ここにこうやって包丁を入れてカマ刺を作るんだよ」?

「んもう、ちょっと見せてあげるからね」と言って大きな柳刃を

取り出して、皮と肉の間に包丁をすべりこませる。

ふむふむ。なるほど。

女将さんも帳場から顔を出して食べ方やさらなる包丁の入れ方や

らをおしえてくれ、いくらか負けてもくれて、消費税もなし!

よおし、お次はししゃもだ。

「もう黒くなってきてるからダメだよ」黒い?「脂が抜けると黒

くなんの。メスじゃだめ?」ししゃも酒にする旨を伝えると、「

じゃあ内(場内)に行ってさがしてごらん、黒いのはダメだから

ね、一匹90円から100円が妥当だから!」

外の、もう一軒の干物屋へゆき、ししゃもの色を目に焼き付ける。

白いかも・・・。

なにしろ時間はたっぷり1時間以上はあるのだ。白いオスししゃ

もを求めて流浪の旅。

ししゃものオスを見せて下さい、と場内の干物屋を巡る。

出してもらっては、心のなかで(く、くろい)(あ、ここのもく

ろい)(それにけっこう高いかも)つぶやきながら「す、すみま

せん、もう少し量が少ないといいんですけど」とかなんとか言い

訳をして、けっきょくししゃもの色を目に焼き付けた、場外の都

水産に戻り、ぷっくり太った、しろいオスししゃもを一連もらう。

鳥藤で親ひきを300g買って、青果部の金芳に向かい、海老芋

と広島のすばらしい生姜、それから春菊を一束もらう。

生姜は海老や豚肉ではさみ揚げにするとおいしいんだそうだ。

大水に戻って穴子を受け取り、買い出しは修了。

家に帰って、ビールをぐぴぐぴと飲み干して気持ちを落ち着ける。

市場は旅と同じ、興奮して緊張もして、鼻息が荒くなる。




----朝食----

冷凍してあった肉まん 粕汁


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----2015年をおさめる夕べ----

記録するのをすっぱりと忘れた。


まぐろカマ刺身

じゃがいものグラタン

海老芋と鶏団子のスープ

春菊のおひたし

各種珍味

炭火焼 まぐろカマ あなご ししゃも えりんぎ 長ネギ


マグロのカマは、お刺身より、すこし炙った方が好みだ。

脂たっぷりだから、すぐに火がつくけれど。

Tちゃんは「調子が悪いからあんまり呑めない」といいつつ、

日本酒をかぱかぱのんだ。

Iさんは器を両手でもってししゃも酒をしみじみと召し上がった。

ししゃも酒は、ほぼ、ふぐひれ酒と同じ要領で作ります。

やまめ酒というのもあるそうですが、ししゃもより、泥臭く

野趣味があるんだそう。ふうむ。呑んでみたいものです。



まぐろカマ刺身
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by hibinosara | 2015-12-25 15:51 | Comments(0)