2016年12月26日(月) 晴れ 10/-1℃
デストロイヤー
しげこさんはミトンをはめた手で器を持ち、逆光の中、もう
もうと湯気を立ててやってくる。
大きなテーブルの真ん中に、どんと置かれたのは立派なロース
トポーク。私たちは歓声を上げた。
つけ合わせはどっさり山盛りのリンゴジャム。
誰かがすっくと立ち、肉を切り分け、みんなの皿に分けた。
肉汁たっぷりで、肉の中心は桃色。
豚肉とリンゴっていうのは何てぴったりな相性なんだろう、
と興奮した。
あんなにおいしいローストポークは最初で最後、だからお山
の上のローストポークは私の指標。
ト、居住まいを正す。
しげこさんたちはオーストリアにいたのだから、見ただけで
あったまるような、見ただけで幸せになるような、北の料理
をもっとしっているはず。
ソーセージを使ったのや、リンゴの料理、スウプはどんなの
かなあ。おいしいんだろうなあ。おしえてもらいたい。
ああ、急にホットワインが飲みたくなってきた!
朝
ジャガイモとリンゴのグラタン
田舎パン
昼
鶏そば
長ネギと生キクラゲをたっぷり
夜
○ポテトフライ
○ローストポーク
○芽キャベツの蒸し煮
○トマトサラダ
○田舎パン
デストロイヤーという名前のジャガイモは、
皮が硬くて青いような、少し変わった味がした。
キャベツと豚肉の相性はいいから、芽キャベツとローストポ
ークだって合うはず、と思ったけれどそんなことはなかった。
繊細な芽キャベツの蒸し煮は、ローストポークでは強すぎた。
リンゴで漬け込んだ豚肉に、もちろんリンゴジャムは合うと
当然のようにテーブルに並べたけれど、リンゴと豚肉を繋ぐ
何かがもう少し必要だった。リンゴのジャムは石鍋でしっか
り煮込んであるから、豚肉もそれ相応にスパイスを効かせな
いと(肉にクローブを刺したりするのはいいと思う)。
嬉しいけど指標だなんて滅相もありませぬ。
rikaちゃんの記憶のなかでどんどん妄想が膨らんでるのでは。
これ読んでいたら私もそんなローストポーク食べてみたーいって思ったもの。
昔食べてすごく美味しいと思っていたものを今食べてみたらあれ?っていうことあるでしょ。
でもリクエストということは承りました。ふふ。
そう。あのローストポーク。美味しかったなー!
あの時の衝撃と興奮は忘れられないなあ。
あんなに湯気が立っていたから、冬だったのかなあ。
大テーブルの周りにもたくさん人がいて、あの歓声も忘れられないー!
はははは。しげこさんの作ったローストポークなのにね!!
案外、自分で作ったのって、そういうものかもしれないなあ。
確かにね。味って色や音みたいに、環境の中にあって、とらえどころのないものとは思うの。
でも、口にして、コレコレっていうのもあるでしょう?
ふふ。
待ってまーす。もうすでに、よだれ!