2017年5月11日(木) くもり 27/15℃
母の日のプレゼントの用意を始める。
今日はちりめん山椒とヴィシソワーズを作る。
玉ねぎを炒めている時に思い出した。母は私の作ったヴィシ
ソワーズを飲んだことがある。初めてだと言っていたけれど、
飲んでみたいと請われていつだったか送った。
けれど、ベーコンや野菜を加えたらおいしくなったと聞いて
ひどくがっかりしたのだった。母は足し算の人なのだ。
でもわたしはもうがっかりしたりなんかしない。なんでも好
きなものをいれて好きなように飲んだらいい。
竹橋の美術館にお茶碗をみにゆく。
珍しく髭の人からのお誘い。
美が作用した最初の記憶は黒いお茶碗だ。
うすくらい茶室のなか、背中の丸まった先生の膝元に黒い
お茶碗が光を受けていた。黒いお茶碗とお茶碗のある空間
にどうしようもなく惹かれて、ひとり通い始めた三つの頃。
はじめて買ってもらった稽古茶碗も黒を選んだが、無地の
茶碗はなく、見えないように掘り模様を向こうに向けて黒
い茶碗に憧れた。
その頃はまだ世の中に黒茶碗というものがあるとは知らな
かった。
長次郎の黒茶碗は存在の塊で、どこか恐ろしかった。
暗闇で目を見開いて、闇も宇宙もみな同じ、自分の輪郭も
あやうくなるような感覚を持った。けれど怖いと思いなが
らも、やわらかな曲線、それは懐かしさのように美しかっ
た。利休は、そういう人だったのではないか、と思う。
あんな茶碗で茶を出されたら、自分はどう受けるんだろう。
光悦さんの母性的な茶碗にほっとする。
ワインを買って、お墓地を歩いていると増上寺の鐘が鳴った。
お寺の鐘を聞くなんて何年ぶりだろう。
じょわーんと響いて、もう消え消えになるころまた、じょわ
ーんと空に波が起きる。
朝
・ブルベリーヨーグルトジュース
・トーストに蜂蜜
髭の人の昼ごはん
・鶏の卵クッパ
鶏ガラでスープを取ったあとのお肉をほぐしてコムタンクッパ風に。
・蕗のキンピラ
・こごみの胡麻和え
わたしの昼ごはん
・じゃがいものポタージュ白味噌仕立て
ヴィシソワーズの素(新玉ねぎをじっくり炒め、じゃがいも
を加えて柔らかくし、鶏のスープをひたひたに加えた)の味
をみると、おいしい。ひとすくいもらって、白味噌をほんのり
加えて、黒胡椒を挽く。
おいしいけれど、冬の味。白味噌はすこし暑苦しい。
・バケット
夜
増上寺の鐘を背中に、小籠包のおいしい東亜飯店へ。
・小籠包
・春巻き
・上海焼きそば
・生ビール