8月8日(火) 晴れ 34/27℃
「大変でしたね」
角の八百屋の若女将と話しているうちに、ぐっと来てしまった。
出火元のお店の人に周囲の店々の協力がとても篤いんだそうだ。
「みんな器が大きい」「すごい」と若女将は腹に力をこめていう。
このあたりは寺町だし、出火元の隣はお墓地だし、ご先祖様が
護ってくれている土地なのよ「また、よろしくお願いします!」
と明るかった。
お昼の用意もしたけれどどうしても気がのらなくて、外にし
てもらった。
何食べたい?と訊かれて即答「お蕎麦」「天丼もセットなら
なおいい」
銀座に本店がある、近所の蕎麦屋に行った。
古い民家を改装したこの店は、はじめて入った時ちょっと引
いた。狭く暗く壁は黒く窓はなく息苦しい。けれど、お蕎麦
がおいしいので(福井産の大野のそば粉を使っている)この
ごろときどき行く。美味しいと、不満に思っていることも仕
方ないな、と我慢できてしまう食いしん坊の性。
今日のホールの男子は映画「プルートで朝食」のキリアン・
マーフィーみたいな浮世離れした雰囲気で、ブロンドに染め
た髪にボルゾイのような狭い顔幅に整った目鼻口が並び前に
突き出している。
合図すると、しゃなりしゃなりやってきた。
手にオーダー帳を持って目をふせるとまつ毛が長い。うすい
唇のちいさな口から高い声で「お蕎麦のセット、海鮮丼と天
丼ですね。お蕎麦は冷たいのと温かいのがあります。はい、
冷たいのが二つ」という言葉並びがなんとも不釣り合いで、
なにか違うものがテーブルに並びそうな気がしてくる。
けれど、常連さんと話すときは、おっと驚くいうくらい、どうどうと話していているし、厨房から◯◯君と呼ぶ料理人の声
にも親しみがこもっている。またキリアン・マーフィーに会
いに来てみようかな。
海鮮丼はおいしそうだった。
魚の鮮度がよさそうだし、きれいに造られているし、お昼に
はもったいないくらい。おつけものだって、三種類もついて
いて、いいぞいいぞと思うのだった。
このところ、お漬け物とお刺身で泣いていたから、うれしか
ったな。
夜
・湯葉丼
・あさり汁
・きゅうりのお漬け物
火元を責めないって本当にあったかいですね。心意気ですね。
鳥藤は大丈夫です。一本裏は無事でした。
大野屋の看板が崩れていった時は、私も呆然としました。
そうなんですよ。火元の方のお話も聞いたんですけど、もう一生懸命で、うるうるしました。
ほんと、心意気です!!!
行ったこともないのに、hibinosaraさんの毎日で、私もすっかりなじみのような気持ちになってしまっていて。
いままでの良い時間の積み重ねがあってこそでしょうけれど、本当、心意気ですね。