10月12日(木) 晴れ 29/19℃ カプセル
まぶしい。
秋に、夏みたいな白っぽい光の朝がやってくると懐かしいよ
うな、白昼夢を見ているような、変な感じがする。
角の八百屋に行くと女将さんは苦しげに顔をしかめて「もう
やんなっちゃう。このむわっとした空気、どーにかならない
かな」と言った頬には夏の疲れも滲んでいた。
「今日のオススメはね、産直のニラ!甘くてねえ、しゃきし
ゃきしてね、おいしいの」と笑うと、疲れなんかまったくな
いような顔になった。
買い物袋をぶらさげて帰る道、きのう読んだエッセイを思
い出して鼻の奥がつーんとした。
ー ふいをつかれた感じだった。私は、おばあさんが、お母さ
んを恋しがるとは思っていなかったのだ。子供は子供らしく、
老人は老人らしく、私自身、時間を刻むことにすっかり慣れて
しまったらしいー
私はもうずいぶん前から知っていた。
おばあさんも、おじいさんも、おばさんも、おじさんも、お母
さんの事を(もしくはお父さんのことを)恋しがっているのを。
子どものままとまった時間が、大人の体に埋まっているのを。
母の体にも埋まっている。母の埋まっているものは同時にくら
く深い穴にも繋がっている。
いつか私はそれにはっきりと気づき、それからしばらくして小
さなシャベルを手に、ときどきうんざりしながらも、滋養にな
りそうな物や言葉を、ひょいひょい放りこむようになった。
母はそうされることで、ようやく穴の存在を認めるようになり、
すこしずつほんとうにすこしずつなにか変わっていった。
そして不思議なことにその動きは、母の背中の向こうにある時
間にもひびきはじめてもいる。
充たされるって、いったい、どういうことなんだろう。
朝
・梨
昼
・塩豚ごはんチャーハン
・ニラのおひたし
おいしかった!
・長ネギとお豆腐のスープ
ぱたぱたする夜にお蕎麦屋に向かう。
髭の人 二種盛り 二八と玄挽き
私 ごまだれ蕎麦
母は、ずるいな、ってずっと思っていたのですけど、こうやって言葉で整理してくださったのを「読む」と、私にも父母を恋しがる気持ちや深い穴があって、それは本来他人に埋めてもらうものではないんだ、って言うことに気付かせてくれたことを,母に感謝する気持ちになりました。
ありがとう。また、優しくなれます。(たぶん。)
そうですね、たぶん、ナナコさんのお母さまも、うちの母も、無自覚に、自分のことを、娘で解消しようとしていたのではないかな、と思います。
それは、人は多かれ少なかれ持っている、事象のような気もするけれど、それがあまりに強いと、まったく娘としては、キツイ人生になりますよね(笑)。
そこが「ずるい」というところなのかなあ。
穴は、うちの母の場合は、本来なら、親にべったりと甘えていただろう時代に得られなかったことでぽっかり穴が空いてしまったのだと思います(涙)その穴には、寂しさや、不信や、怒りなどが詰まっているのだと思います。
そのことを思うと、かわいそうで仕方なくなって、なんでも許したくなります。
その穴はね、もう取り返しのつかない時間ではあるけれど、代わりに埋めてくれる人がいれば、すばらしいと思います。
たいせつなのは愛されることなんだと思います。そして愛することなんだと思います。
うん、私も母に感謝、しています。生まれてきてよかった!!