島の東側の大衆食堂
くじらの脊椎、 スミイカの骨、もうひとつのたまご
8月1日(水) 晴れ 35/25℃
朝からもう太陽がギラギラしている。
梅雨明けから一ヶ月と三日目。けれどまだ八月一日だ。
七月は熱風の嵐だった。
「ワダツミの木」をきいた。
あの歌はどうしてか、八月のものなのだ。
しんとしているのにやかましくて、生きているものの気配と
死んでゆくものの気配が地に鬱蒼として、体の重だるい季節
にききたくなる。
やっぱり不思議な歌。ちょっと怖くて。
夜の散歩のあと「ねえ、なんか食べて帰っちゃおうよ」と髭
のひとは言った。
大衆食堂に入る。
わたしたちは、路地で体をのびのびと伸ばしている猫の写真
がちゃんとした額に入って壁に飾られている隅の席に座った。
耳をつん裂くにぎわい。
女のいない男ばかりのテーブルも女と男の大勢のテーブルも
みんな大きな声でしゃべって、がははは、わはははと一斉に
炸裂している。
つまみは、焼きそばや黒っぽいチャーハンのようなのが人気
で、どのテーブルにももれなく並んでいた。
ひとり客は壁に沿ったカウンターに座って新聞とビール。
もちろん全面喫煙可。自由だな。
「見た?」と髭のひと。目尻がさがっている。「いつごろの
季節かなあ。バイクの後ろの親父何着ている?」とじっと猫
の写真を見ているので、わたしも振り返って見上げる。
梅雨時じゃないかな、空気がもわっとしているし。
それにしてもこの店、知っていたのにどうして来なかったん
だろう。
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昼
カレーリーフをはじめて使う。
ミカン科ゲッキツ属インド原産。別名南洋山椒。その名の通り
大きな山椒の葉のような形。
苦味と辛味があり、クミンと柑橘の香り。
ココナッツオイルで、カルダモン、シナモン、カレーリーフ
を炒めて香りを出す。
みじん切りの紫玉ねぎと青唐辛子を一本加えさらに炒める。
カシューナッツを加え、カレー、チリ、クミン、コリアンダ
ーパウダーとともに炒める。
味付けは冷めてから、黒岩塩を散らす(熱いうちに加えると
硫黄臭が飛んでしまうので)。
スリランカ料理の本の通りには香辛料が揃わなかったけれど
おいしかったな。
バスマティライスに、カレー、トマトのマリネ、カシューナッツのふりかけ、シャンツァイをのせる。
ほかに、胡瓜と紫玉ねぎのヨーグルトサラダ。
夜は島の東側の大衆食堂で
髭のひと 生姜焼き定食
わたし キムチ 餃子 ビール
高校生も満たされるだろう正統派的なボリューム