キンパ/12月28日(月)の食卓 晴れ
板のり
今年は一年越しの野望、”巻き簀を使って巻物をつくる”をすこ
し叶えた。
いまはまだ、おぼつかない手つきでなんとか巻けるようになっ
た時点。
太巻きは、巻く具材の味のバランスが計算できないし、きっち
り中心に花が咲いたようにも巻けない。細巻きだって、酢飯と
具材のバランスがもったりしているし、酢飯自体の味付けもど
うなんだろう?と疑っている。
巻物は人形町の寿司屋の油井さんが、先生だ。
太巻きの具材のバランスも酢飯とのバランスも素晴らしいし、
それに切り口のうつくしいこと!細巻きのかんぴょう巻き、赤
貝の紐の巻物、穴子と胡瓜の巻物もしっかりとわさびをきかせ
て清々しい。
どんなに頑張ってもあんなふうには巻けないのはわかっている。
けれど、目指す所があるのは背筋が伸びる。
油井さんには江戸前料理だけじゃなく、じんせいについてもお
しえられた。
何とはいえないけれど、言葉の端々や、彼の体からにじみ出て
いることから。弟子が師匠の振る舞いを、かたわらで見ながら
すこしずつ吸収するように。
いつかじぶんの巻物を作れるようになりたいものです。
----朝食----
リンゴのグラタン
----昼食----
キンパ キムチ キムチスープ
----夕食----
御成門でセールのワインを見つけてほくほくして帰る途中、ち
ょっと気になる店、味芳斎。
店を照らす蛍光灯の青い光の下には、飾り気のないテーブルと
木製の椅子がならんでいる。
おいしそうな予感がする。
店に入ると7時から宴会があるからそれまでなら、という約束
で座らせてくれた。お店の人(とても感じがいい)におすすめ
を訊いて、注文をしたのはレバーとピーマンの辛い炒め物とこ
れまた牛肉の辛い一品。それからご飯のセットと生ビールをひ
とつ(私)。
いつもテーブルの前の席に座っている人は、これから忘年会が
あるから飲まないんだそうだ。
店の端のテーブルを囲んで和んでいる大家族がいい感じだ。
彼らの後ろには龍神様の飾り物。
この、なんともいえず閑散としてはいるけれどテーブルに花が
咲いたようにあたたかみのある雰囲気は、ヨーロッパでひょい
と入った中華屋みたいで、旅気分だ。
お料理は汗をかいた赤鬼みたいな顔になるほど辛かったけれど、
それも含めておいしかった。
いい店を見つけてしまったなあ。総体的に好きな店。
四川系は白金の四川と御成門の味芳斎の二軒があればいい。
あ、忘れていけないのは、はしごの担々麺も。
ほかにもおいしいお店を思い出してきたけど、ありがたいなあ
想うだけで幸せになれます。