2016年10月3日(月) 27/22℃ くもりときどき雨ぱらつく
新高梨
夜明け前に、そおっと布団を出る。
母滞在三日目。
今日は書を学びにゆく日。
神経が高ぶっているのか、起こしてしまう。
携帯メールをずうっと見ていたり、荷物を整理してみたり、
そのうちにうろうろ、うろうろしはじめたから、巻き髪の
練習をやってみることを勧める。
洗面所から出て来た母は、外の空気を吸いたいと檻に入れ
られたキリンのような目で川向こうの景色を見ている。
近隣の地図を描きながら、眺めのよいスポットと、市場と、
築地本願寺の位置を説明する。
本願寺は手を合わせると落ち着くんじゃないかと思って。
それから大きなお金は築地あたりはスリも発生しているか
ら持って歩かないようにと言って、なんだかわたしは口う
るさい母親みたいだ。
角山の麩まんじゅうを手土産にして「築地本願寺がよかっ
た」とすこし晴れた顔で帰ってきた。
「胃の調子どお?重いとか、むかつくとかない?」と訊ね
ると、不思議そうな顔をして胃のあたりをさすり「何にも
感じない」と言った。
すこぶる健康な胃の腑だ。チーズが二日続いたし、よく食
べていたから案じたけれど、これで好物のチーズのパスタ
を出せる。
書道教室には送って行くけれど、今自分がどこにいて、ど
んな電車に乗って、どっちの方向に向かって、どうやって
行くのかをぜんぶ知りたいようだから、地下鉄の路線図と、
地下鉄の乗り換えと、書道教室近隣の地図と道順のプリン
トを渡すと、またすこし落ち着いた。
真っ白なふくれ織の袖の先がラッパ状に広がったシルクの
おしゃれな上着を着た母を(墨で汚さないかと気になった
けれど)教室の一番前の席に座らせて、もう少し居てとい
うから一緒に道具を並べたりしていると「動悸がする」と
言ってカタカタ震えている。心を落ち着ける方法(薬指を
ぎゅうっと握って深呼吸をする)をやって見せて、母の指
を握ろうとしたけれど受け付けないので、獅子の子落とし
のような気持ちで去る。
懇親会で遅くなるんだそうだ。
目が落ち窪み、頬がこけだしたたくやさんと、ほっとする。
薄情だけど。
夕食をあるものだけで済まして、迎えにゆくとちょうど宴
が終ったところで、酔っぱらった人たちは先生とハグなん
かしていい感じになっている。店の奥の方に笑顔の母が見
えた。
地元のスーパーでナッツとドライフルーツを買って、ビー
ルで乾杯。母と向き合って、教室や懇親会の楽しかった話
を聞く。
----朝----
梨とヨーグルトのジュース
ついでに梨のシャーベットも作る。ヨーグルトとカボスを加えて。
----昼----
○パルメザンチーズのパスタ
○いんげん豆とじゃがいものホワイトスープ
○トマトのサラダ
○ナイアガラ
----夜----
○あるもので
胡麻麩、きんぴらごぼう、茄子とオクラの揚げ煮、
トマトのサラダ、すべて残り物。
ほかに、素麺、大根おろし。