2017年4月29日(土) 晴れ 23/10℃
木の芽
海の方から二羽の「う」が川面をかすめるように飛んできて
橋の下をくぐり東へ向かった。
春の嵐が来ると聞いていたけれど、おだやかな朝。
この間挿し木にしたセージはみな真っ直ぐ立って根が付きそ
うだ。
土におろしたユリ根はどんどん丈をのばして天に向かって吹
き出す噴水のように葉を広げている。
冬の間に茂ったタイムを刈り取る。
フォックスリータイムは生成り色の麻紐で、クリーピングタ
イムは小豆色の麻紐で根元を縛りハサミを入れ、水洗いをし
て柳の枝にぶらさげ乾燥させる。
タイムは寺院などで浄化にも使われていたそうで、クリーピ
ングタイムはあまり香らないから料理よりも焚いて部屋の空
気を変えるのもいいかもしれない。
みるみるうちに重い灰色の雲に空は覆われて暗くなり、春雷
がやってきた。
怒った巨きな動物が息をするたびに唸り声をあげているよう
な恐ろしい轟。
ゴールデンウィークのはじまりの日だから、何かして遊ぼう
と誘ってトランプをする。
ブラックジャックはあまりにもつまらなくてすぐにやめる。
神経衰弱は意外と燃えた。
14対12で負ける。
雪解けの大地を掘り起こして、冬を土中で過ごしたじゃがい
もが母から届く。
男爵と北あかり10キロ。
ほどよく水分が抜け、甘い。
しかしすぐに芽が吹いてくるから、しばらくはじゃがいも料
理が多くなる。
まずは、じっくりとゆでてバターと塩でいただく。
昼
・ゆでじゃがいも バターをたっぷり
・パンチェッタとセロリのサラダ
・フェタチーズ
・バケット
夜
角の八百屋で、うど、タラの芽、ふきのとうを手に取ると
「もしや?」とにやりとして「うちもやろうかなー、明日
休みだしなー」と女将さんの嬉しそうな顔。
久方ぶりの山菜天ぷらは食卓で揚げる。
・山菜天ぷら うど、タラの芽、ふきのとう 塩と醤油一滴で
・アサリの煮浸し
・鯛の木の芽まみれ
昆布締めの鯛と木の芽の佃煮を合わせる。
ふわりと木の芽の香り、次に昆布締めの鯛の旨味がやってきて
また木の芽、対流するようなおいしさ。
・こんにゃくのきんぴら 残り物
・赤出汁 豆腐
・炊きたての飯
鰹出汁がアサリの中心まで染みた、好きでたまらない煮浸し。
もし5月のうちにまたおいしいアサリに逢えたら今度は、
煮浸しにしたアサリで茶碗蒸し、それからぶっかけご飯。
どうか、逢えますように。