ねっぺのはなし
3月18日(月) 晴れ 15/4℃
ねっぺのはなしが好きだ。
石巻では「よだれ」のことを「ねっぺ」というそうなの
だけれど、いかにも糸がひいていたり、ねちょねちょぺ
ちょぺちょした、いい音だなと思う。
その「ねっぺ」がついた食事中の直箸を、猫少年のおと
うさまは漢方薬のプラスチックの容器で熟成中のしおか
らに突っ込んでぺろりと味見をし、ふたたびその箸を容
器に入れ、たのしそうにぐるぐると回したのだそう。
「ねっぺ」は汚らしくていやだったけれど「それでもお
いしいから我慢して食べた」というところが好きで、顎
の細いぜんそく持ちの猫少年が、うつむいて箸をのばす
姿が見える。
石巻の冬景色にあたたかな夜の食卓がじんわり浮かぶ「
ねっぺ塩辛」のはなしを、スルメイカのワタが太り塩辛
を作るに適する季節になると繰り返し思い出す。
そしてわたしはわたしの塩辛をつくり、まいにちぐるぐ
る回すんである。
きのう猫さん宅の廊下に不要になった食器が並べられて
いて、そのなかに信じられないもの、「君が代薬局」で
おとうさまが漢方薬を調合するときに使っていただろう
真鍮の匙が鈍くひかっていた。それぞれすこしずつ形が
ちがうから、棒状の真鍮が熱いうちに片一方の先を叩い
て伸ばし、楕円状に広げるのだと思う。
三本もらって帰ってきた。
一本は愛ちゃんに。
もう一本は猫さんに。
返してほしくなったらいつでも言ってね。
――――18日のごはん
ややふつかよいの朝に
豆餅
ややふつかよいの昼はやはり汁もの
瀬戸内海の天ぷらでうどん
夜は
・酢鶏
玉ねぎは津和地産
・豆腐チゲ
・ひじき入り玄米
決してスプーンと言いたくないような。。
おもしろいですねえ。
その「じ」にはちょっぴり鼻音がかかるのかなあ。
鼻音って、温度も湿度も高くて好きなんです。
あ、フランス語って鼻音の王様語ですよね!
ねっぺ たんぺ よだれ ねっぺ たんぺ よだれ
よだれって早い音なんだなあ、と改めて思ふ朝。
おもしろいなあ(しつこい)。