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日々の皿

明るかったな。百合のおかげだろうか。




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5月22日(水)  晴れのちくもり  25/14℃


隙間という隙間から押し寄せてくる光はギラギラと硬く目に痛

い。ブラインドを上げると、嵐の翌日のすっかり晴れわたった

朝の空だ。

白いカーテンは光に揺れ植物たちはすっくりと立ち、まるで

福されているみたいな光景。


五月二十二日の今日はおやっさんの一周忌。

おばあちゃんの原宿で有名な駅で降りて、ひげの人はそのまま

寺に向かおうとしたけれど、どうしても花を手向けたくて店を

探した。太陽が何の含みもなくまっすぐに落ちてきて、今日は

暑い。

カップに入った花を手にし、ナビに住所を入れる。額には汗が

にじみサングラスを持ってこなかったことを後悔した。

一本裏に入ると広大な墓地があり、私たちは墓地と墓地の間に

敷かれた細い道を右に左に曲がり人と往き交いこの間Kにおし

えてもらった寺の前に出た。

古い墓地なのだな。司馬江漢の墓がある。

住職に案内をしてもらうと、誰か今帰ったばかりで線香が煙を

上げていた。大きな花束が左右に供えられて、まぶしいほどに

墓を明るくしている。

ヒゲの人はすぐには手を合わさずに周りをうろうろとし、「二

代目は長生きをしたんだなあ」などと墓碑を見てつぶやいてい

る。

お参りをしようと、花を石柱の頭にのせると見事にひっくり返

り地に落ちた。

「相変わらず粗忽者だねえ」と思われるだろうな、と思いなが

すぐそばの水場で水をたっぷり足していると、ヒゲの人はし

がんで先に挨拶をしている。

石柱の頭を触ると真っ平らで、どうしたって転がるけがない

のにな、と思ったとき、そうかおやっさんの仕業かもしれない

と合点した。まずは、二人で話したかったんだろうな。

わたしもしゃがんで手を合わせる。

それにしてもどうしてこういうとき、謝ってしまうのだろうな。

しばらく二人とも猫のようにそこに佇んだ。


私たちはK寿司に向かった。

今日は長男のKが中に入っていた。

ほぼ満席。人気があるのだな。

ほとんどの客が酒を呑んでいる。

私はビール。小瓶の恵比寿。

ヒゲの人はお茶。

隣の人がカツオをツマミで頼んでいたから私も欲しかった

けれど、最後の皿だった。身がしっとりと赤くて美味そう

だったな。Kはこれも最後ですと言ってホタルイカを出

てくれた。

しかし今日は混んでるね、と隣の人がKに話しかけると、

「親父の一周忌なんですよ」と明るく言って私たちの方を

ちらりと見た。「行ってきたよ。さっき」とヒゲの人が返

すとわかっていたような顔つきをした。

ばらちらしを一つずつ、それから追加で穴子を一貫ずつ。

すばらしい穴子。唸る。たぶんいつまでも記憶に残る穴子

の一つだ


「たまに思い出してやってください」

会計をするとき女将さんはヒゲの人に言ったのだそうだ。

女将さんは今も泣くのかな。





ヒゲの人は仕事に向かい私はルートブリック。

明るいロマネスク。

しあわせな幼少期を送った人なのだろうな。おとうさんが

大好きで。

心に残ったのはアダムとイブ。

エデンの園の世界からクロスが生命の木のように伸びてい

て。

木の上のアザカイもよかったな。

それからおとうさんのお葬式も。



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――――22日のご飯


軽い朝飯

・納豆にお雑魚ちぎり梅

・とろろに卵を落として

・にしんの昆布巻き

・白いご飯

朝の体操の後の電話で、母は納豆はやっぱりすごいと言った。

しげこさんに納豆に酢を加えるといいとおしえてもらってから、

母は夜の納豆に酢を加えその横にはラッキョウをいく粒か並べ

て欠かさない、と声に力をこめた。

血圧も下がって、お肌もぷるぷるになって、うれしそう。



夜は

・鯛のゴマだれ漬け

・キュウリとミョウガ

・白いご飯

・鯛あら汁




by hibinosara | 2019-07-10 15:06 | Comments(0)