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日々の皿

宇宙の陰






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五月二十四日(金)  快晴  31度/16度


楕円形の葉っぱの一つにハサミを入れて、金豆の全体像を少

し引いた目で眺めたとき、それまでそこに存在しなかった盆

栽の、宇宙的な空間に触れた感覚があった。

それは一種の瞑想に近いもので、こうやって人はのめり込ん

でいくのかもしれないと思った。続けてみたい気持ちはあ

たけれど、半端なことでは出来ないだろうから、ヒゲの人と

話し合って幹を固定している金具を取ってやることにした。

結局、全て解放せずに一部だけ外したらしいのだけれど、い

つの間にか一本の枝が長い息を天に向かって放つようにする

すると真っ直ぐに伸び、それはなかなか魅力的な景色だ。

そういえば、蕾を持たなかったな。蜜柑の小さな白い花を咲

かせてもよさそうなものなのに。

盆栽のことは何一つ知らないけれど、季節そのものを小さな

宙宇で見せてくれる、いいものなのだろうな。

これを下さったIさんが今度いらっしゃる頃には、どんな姿に

なっているだろう。


朝早く出かける。

東博。

チケット売り場に並んでくれているLちゃんは、まだかまだ

かと列の先を汗をかいた額を伸ばして見ている。

いい人だな、と思っていると、横からちちゃんが「ああいう

ところ、小学生みたいに健気だね」と言った。

東寺ー空海と仏像曼荼羅展に三人一緒に入って、すぐにばら

らになる。

曼荼羅はたぶん、すっかり数字で表すことができるのだろう

な。とても静かに、整然とした美しさで。

如来さまがよかったな。

それから伎楽面も。遠い、思い出せないほど遠い記憶にぽっ

とあかりが灯るような何かがあって。

それにしても今日はギラギラと暑く、太陽に判断力というも

のを奪われたのか、ちちゃんとわたしは、大変に繁盛してい

るのに大変においしくない和食の店に入ってしまった。余計

なことをしなければ、もう少しましなんなんだと思う。熱く

すべきものは、熱く。語られるべきではないものには口を閉

ざして。

入ったわたしたちがいけないんだけど、思い出すとまた腹が

立ってくるので封印する。

ちちゃんのアトリエで神亀の大古酒をいただいて、暑さが落

ち着いた午後、谷中の街の小商いの見学に連れて行ってくだ

さる。



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―――24日のごはん


パンを買って帰ると、ヒゲの人のパンもテーブルに上がっ

ていた。どちらもハード系のしっかりしたパン。

生ハムとモッツァレラとクリームチーズとトマトサラダと

コルニッションの夜。

サラダのドレッシングはホワイトとレッドのバルサミコを

半々にして、オリーヴオイルと塩。

よい夜だったな。おしゃべりをしたりして。


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by hibinosara | 2019-07-12 19:05 | Comments(0)