土の力

10月2日(水) 晴れ 30/20℃
暗いうちに起きてお風呂入る。
そのあと寒川神社さんからいただいた御神土を玄関に持って行
き円を描くようにパラパラ撒きながら、何か言わないとまじな
いにならないような気がして「はらいたまえ、きよめたまえ」
と、となえた。
すこしこわかった。
この間から妙に調子が悪い。
土を求めて、出かける。
途中、漆器屋さんの交差点にさしかかったときヒゲの人がチラ
と店の方を見た。「あるかな?」と聞くと「どうかな」と言っ
た。店に入ってケースのぽっかり空いているスペースを指して
、「以前ここにあった春慶塗りのお弁当箱の在庫はありますか
?」と尋ねると、店主は首かしげたまま奥に消えて、しばらく
すると小さな箱を手にして「ありましたよ」と微笑んで中身を
見せた。包んでもらっているとヒゲの人が「在庫はそれで終わ
りですか」と聞いた。店主は手を止めて「あっても、一つか二
つ」とまた首を傾げたまま奥に消え、しばらくすると「最後の
一つです」と箱を手に戻ってきた。
あるはずが無いと思っていたからうれしい。うれしいうれしい
と店主に伝える。
でも、不安だ。弁当箱に恋する気持ちを三つに当分に分けられ
るかどうか。
途中別れて先に皇居外苑に向かう。
今日は観光バスのターミナルが見える賑やかな芝生にした。
大きな木の下にシートを広げて「もっこりした木の向こうにい
ます」とメッセージを送る。
ああ、ひさしぶりだな。気持ちいい。芝生の上で寝転んだり、


裸足になって歩いたり、木に寄りかかったりしていると、たい
てい体調は整う。ある人は、あの芝は農薬がすごいんだよ、と
言ったけれど、それを超える力がある。一時間か二時間、ごろ
ごろしていると、浮腫みは嘘のように消える。
しばらくするとヒゲの人がやってきて、もっと大きな木の下に
シートを敷いた。
水しか持ってきてないからものたりない。たいてい芝生に来る
時は、酒やつまみと一緒だから。
本を読んでいると、行間や文字の上に木がぽとぽと何かを落と
してきた。贈り物かもしれないから受け取る。
ヨーロッパの観光客が多いな。ごろんと転がって情報誌やスマ
ホを見たりしている。
蟻たちが体を横断してゆく。わたしたちは彼らの通り道を大き
く塞いでいるのだろうな。
背中を土に預けて梢を見上げる。
何年生きているんだろう。
大きな木だ。
あの梢と同じような形をこの木は土の下にも張っていてシンメ
トリーの世界なのだな。わたしたちの手や足はそれとすこし似
ているかもしれない。木肌にも世界があって、蟻たちが猛スピ
ードで行き来している。
太陽が傾むいて横から日が射しはじめると、芝生が一斉に輝い
た。
立つと、体がすっきりしている。足のむくみも取れて靴もがぼ
がぼ。ありがとうございました。また来たいな。
帰ってくると、床に米が散乱していて元きいろちゃんが来てい
た形跡。
――――――2日のごはん
朝は
有機野菜屋のりんご
よい香りのやわらかな果肉。
昼は
きのうのお弁当の残り
わたしは不調のため、不食。

夜は
インデアンのカレー。
たくやさんの方がお肉が大きかったと言うと、
君のは一個はとても大きくてもう一つは小さかったの、
僕のは両方とも小さめだったよ、と答えた。
ちゃんと見てるんだな。


