季節外れの大ご馳走
12月3日(火) 晴れ 17/10℃
メジロとみかん
美恵子おばさんから長芋が届く。
今日も小春日和。
きれいな光だなあ。
ヒゲの人がベランダから戻ってきて
「青虫さんいない」
と言った。
「蛹になる旅に出たかなあ」
「多分」
「雀に見つかったなんてことないよね」
「わかんないよ」
「だって、すずちゃんにとっては青虫は季節外れの大ご馳走だよ」
「もう一回見てくる」
「やっぱりいないな」
雀が青虫を見つけて目を大きくしている顔が浮かぶ。くちばし
でやわらかな動体を挟んでやっと大きくなった青虫を力づくで
奪ってゆく。
わたしも探したけれど、わからなかった。
消化器官を脱糞した跡もなかった。去年の晩秋、蛹になりに旅
に出た青虫は、使っていない植木鉢を重ねた薄い隙間で春にな
るのを待っていた。どこかであの青虫も、居場所を見つけてい
ますように。
帰りがけ、ひねはじめた新生姜を買ってきた。甘酢づけを作っ
て瓶詰めにして「いなり寿司の友」とシールを貼る。
これは母の。白菜の水が上がってきた。三日くらいはそのまま
漬けておいてよいらしいから、明日本漬けに入る。
そうだ、お母さんから朝メイルが来てたんだった。
「預かった筆記用具を引き出しに入れておいたけれどないので
探してください」
失せ物探しの占いはけっこう時間がかかる。それに考えてみれ
ば一度たりともピシャリとあてたことはなく、イメージできた
場所を伝えるだけ。歴史映画で「神はいつも指し示してくれる
。けれど具体性はないのだ」と戦士は呟いていたけれど、その
通りなのだ。失せ物探しは心細い人のための杖みたいな物なの
だろうな。それに時間をかけて場所を絞って伝えても、「そん
な所には置かないもの」と言われて早速可能性を潰されるとむ
っとする。出がけで忙しかったから、帰ってきて時間があった
らやってみます、と返事をしておいた。
ふうむ?
引き出しに入っているのではないかなあ。
―――――――3日のご飯
朝は
ブルーベリーソースヨーグルト
昼は
キツネ丼
玄米にちぎった海苔を散らし、破けてしまったいなり寿司用
お揚げをその上に散らして。
夜は
親子丼
若芽酢
アサツキとお揚げの味噌汁