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日々の皿

今月もありがとう!




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2月27日(木)  晴れ  12/4℃



6時4分。さえずりが聞こえる。

「ティティティティ」

そういえば、うすくらい朝のはじまりにやってくるメジロは、か

ならず鳴きながら飛んでくる。


母体操を休む。

夕べ、悪寒がするから早く寝ると言ったその言葉に不安になっ

わたしは「岩塩を抱いて眠ってみたら?」と半ば本気で言った。

抱いているという事実で気分は上がるだろうし、それに塩は陽性

だから効くんじゃないかとも思って。

8時過ぎに電話をする。

話を聞いていると、感染したかもしれないと感じたようだった。

熱を測ってみたけれどなかったと明るい声。

そして「やっぱり岩塩は凄いわねえ」と力強く言った。

塩は、母にとってほぼ救いの神だ。それはたぶん、私にとっても。


夜のうちに水に戻ってふくらんだ、手亡と大豆を煮る。

大豆は厚底のごはん鍋で、手亡は台所のガス台は煮込みのも

全て埋まっているので、携帯コンロを出して窓辺で火にかけた。

湯の表面が揺れ始めると、もこもこと雲のような灰汁が上がって

くる。すこんと青く抜けた空にも、明るい雲がぷかぷかと浮かん

でいる。


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大豆は五目豆に(豆のほかは、油揚げ、干し椎茸、牛蒡、人参)

、手亡はイタリアご飯とロールキャベツに。

イタリアご飯(オリーヴオイルで透明になるまで炒めてハーブソ

ルトで調味したみじん切りの玉ねぎと米、やや硬めに煮た手亡を

水と白ワインで炊く)は母に食べてもらうために付けた名前だ。

ご飯をサランラップで包んで、マスキングテープにイタリアご飯

と書いた横に今日は「ワイン入り」と加える。


「えーっ。見てごらんよ」とヒゲの人が大きな声を出した。

メジロとスズメが同じミカンに向かい合わせに留まって食べてい

る。仲良しというふうではない。けれど喧嘩もしない。二羽は互

いの姿が目に入ってないようだ。そんなこともないかもしれない

けれど、そう見える。気にしないことに「決めて」いるかのよう

に視線は合わさず、顔を上げる時は遠くに目をやっている。


中華おこわをたっぷり作ったので、ご飯ものはあと一つ。

大根飯を炊く。5ミリ角にした大根と油揚げ、それからじゃこ。

あれば、大根の葉を入れるとほろ苦さが旨味になる。味付けは

口醤油少々、塩と酒、炊き上がったらごま油を香りに少々かけ

す。

メジロが榊の枝にとまってガラスの向こうからしきりにのぞき

んでいる。彼らにとってわたしたちは、透明な壁の向こうのう

ぐらい洞窟に暮らしている生き物のように見えるのかなあ。その

かわいらしい動きを眺めて「はっ」とする。たぶんミカンがない。

やっぱりそうだった。彼らはわたしたちがミカンの元だと知って

いるんだ!


びゅうびゅう風が吹く中、ごはんの段ボールをカートに積んで、

出しにゆく。寒空にぽっかりと月。

終わった。ヒゲの人よ、今月もありがとう!

帰って、片付けをしていると、柚子とシークワーサーが届く。

万年筆の青いインクのよれた字。Nさんの字だ。昔よりさらによ

れて、万華鏡を覗いているみたいに、散り散りの字だ。



――――――――27日のごはん


朝は

でこぽん

チーズトースト

青い空に子象の雲が飛んでいる。

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昼は

キャベツの芯の千切りとひき肉でお好み焼き

表側の葉っぱはロールキャベツに




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疲れて萎んでくる自分にかける声は

「過剰最高!」だ。

包丁はタタタタタと勢いを取り戻し、レモンのピールを刻みまくる。

今日のケーキはうまく焼けた。

単純なレシピだけれど、うまく焼くためのコツはまだまだあるよう。 



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夜は

ロールキャベツとバケット

母のロールキャベツに手亡を入れるのを忘れた。

だし醤油も忘れたし、ホッカイロも忘れた。



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by hibinosara | 2020-03-02 09:10 | Comments(0)