ふくらみ
11月28日(土) 快晴 17/9℃
窓際の台に置いておいたピンクオークのオーナメントとむくむく
の絵が朝陽に浮かびはじめた。
その横には愛ちゃんが送ってくれた鯨の真っ白な骨や、種や、落
ち葉も並んでいる。ほかにただ細長い塊の文鎮のようなものや、
小さなカボチャ、鳥の羽根、オリーヴの枝や、つまり自分の好き
なものたちが並んでいる。
朝の光が終わると、むくむくの絵を壁に立てかけた。
きのうはクリスマス色の絵を上下左右くるくる回して眺めた。大
人の感覚で見ないように気をつけながら。ひらがなや数字が隠さ
れているようにも見えるし、何かの印象が描かれているようにも
見える。むくむくにはどんなふうに世の中が見えているんだろう
な。
文字を書きはじめた頃の記憶が浮かんだ。「あ」を複雑に感じて
いたうっすらとした感覚は残っている。「わ」「れ」「ぬ」ふく
らみを持つひらがながの左右がよくわからなかった。言葉もそう
「どうろ」は「ろうど」、「ふじほ」(いとこの名前)は「ほた
て」、「くるぶし」はどうしてか「くろだぶし」だった。むくむ
くの今がとても尊い。
土曜日の遅めの市場でお得な一山1500円を買う。
コイカ、カツオ刺身、カツオたたき(2パック)。
お得な一山2500円にも気持ちが動いたけれど、なまこがいっ
ぱい入っている大きな袋に後ずさる。母なら絶対に買っただろう
な。なまこが大好きだから。処理をして送ると喜んだかもしれな
い。母は今朝も電話に出なかった。メッセージを送ってもなしの
つぶて。困っていると、幸いの樹からメッセージ。様子を見に行
ってくれることになり、ありがたくてありがたくて。有機野菜屋
で5点1000円の特売セールでキャベツや白菜を持って長い橋
をふーふー言いながら渡っていると、着信音が鳴る。
「おばちゃん元気です。ちょっとめまいがしていたそうです」
写真の母はスマートフォンを持って何か操作して微笑んでいる。
髪もちゃんとしているし、ベージュ色のカシミアのカーディガン
を着て温かそうにしている。お土産のローソンの肉まんとピザま
んを二人で食べたのだそう。母、嬉しかっただろうな。
夜、またみかんの丘を見る。
調度品を眺める。素朴で清潔。パソコンもテレビもなくてラジオ
だけ。すべてがしっくりと馴染んで調和して、いいなあ。
―――――――――28日のごはん
朝
柿
昼
菜の花のパスタ
アンチョヴィの代わりにアミを入れる。
すごくしょっぱくなって、モッツァレラとバケットで舌を慰める。
夜
コイカの蒸し物 生姜醤油で
カツオのお刺身は素晴らしかった。
ルビーのように赤く、繊維が細かく、しっとりしている。
・里芋とお揚げのお汁
・菜の花とお揚げの黒胡麻和え
久しぶりにたっぷりの食卓。でも、ほんの半年ほど前までは
このくらいの量を平気で食べていたのだっけ。