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日々の皿





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5月24日(月)  くもり  28/16℃




赤銅色の長い杭を、何本も川に打ち込んでいる。




10


15


20


25




杭には白い数字が縦に等間隔に並んでいて、あれは川底に何メー

トル打ったかわかるように表しているのだそう。

そういえば数字が全部見える時と、20や25しか見えない時が

ある。

振動はがまんできるけれど、重油の重苦しい匂いに朝からむかむ

かして、子どもの頃のバス酔いとそっくりだ。

ヒゲの人は平気で、子どもの頃も乗り物酔いはなかったのだそう。

わたしは遠足の時は一番前の席に腰掛けて、先生に袋を渡されて、

それに触るだけでもうその気になった。

いちばん辛かったのは冬のバス。

窓は閉め切って、北海道は汗をかくほど暖房を効かせる。それだ

けでも気持ちが悪いのに重油の匂いが重なり、タバコを吸う大人

もいた。

窓を開けて顔を出すと、ひんやりとした空気が頬をさやさやと流

れてゆき気持ちよかった。息は楽になったけれど、それでも酸っ

ぱいの上がってきて、のみこむようにしてもどうしてもこみ上げ

てくるものだから、たまらず吐き出した。

ある時、後ろの席の人も窓を開けていた。

開けているのを知らなかったし、吐き出したものがまさかその人

中に入るなんて想像もできなかった。けれどとにかくわたしの唇

から離れた液体は風に乗って飛んでゆき、その人の口に吸い込ま

れてしまったのだった。

母は何度も謝っていた。

わたしは事情を飲み込めず、ただぼんやりと不快そうな顔をした

黒いトックリのセーターの女の人を見ていた。

午後も重油の匂いは続き、むかむかはとまらず杭を遠く眺めた。

25の数字が見える。

川の底のあんな深くまで杭が何本も打たれていることを想像する

と、なんだか苦しくなる。

まるで暗い神殿だ。


母はきょう歯医者だった。

9時半の予約だから、通勤ラッシュの地下鉄にはぜったいに乗っ

て欲しくなかった。

タクシーもできれば避けて欲しかった

予約を変更できないのか朝にもう一度聞いてみたけれど、歩いて

行くと言った。

わたしの足なら20分かそこらだけれど、母ならその倍はかかる

だろう。心配していたけれど行き帰りとも歩いて、大通り公園の

ライラックに挨拶をしてきたよう。

スマートフォンの万歩計が10000万を超えている、と喜んだ

。初めてよ、ともう一度言った。



――――――――きょうのごはん



朝の三点セットとレーズンパン


昼のごはんは

茶そば 薬味は青ネギ

豚しゃぶキュウリ添え

冷やしトマト

黄金柑


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夜のごはんは

・セロリチャーハン

 セロリの葉っぱ サルシッチャ たまご 塩

・ぬか漬け きゅうりとうり

・キャベツのスープ


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アスパラの春巻き

春巻きの皮で巻いて、サッと揚げる。

熱々をポッキーのように端から食べると、

皮はシャリシャリして、アスパラは甘い香りを立てる、

予定だったのだけれど、皮は半円にするとよかった。

ちょっともっちりする。


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by hibinosara | 2021-06-25 20:00 | Comments(0)