わかっているんだなあ

2月17日(月) 晴れ 16-7
さいしょの20分は息つく間もなく話している。
持ち時間は40分。
作業療法士さんがタイミングをつかめそうもなかったら、声を
かける。
「おかーさーん。20分過ぎましたよぉ」
今日はすこし長い距離をマンションの廊下で歩いてみましょう
と提案してくれたのだけれど、母は沈黙した。それもずいぶん
長く。ちょうど陰になって母の背中は肩の辺りまでしか見えな
い。
母はご近所に見られたくないのだろうなあ。
はぐらかすように一番奥に住んでるのはお医者さん家族、その
となりは問題があって、こっち側は助産婦さん、みんなわたし
のこと変な目で見るのと言って、マンションの廊下で運動する
のを嫌がった。
作業療法士さんがお帰りになって、しばらくするとまた始まっ
てしまった。
毛皮のコートがない。夜だわ、夜入ったのね。押し入れから出
てきたのよ。それとも天井を剥がしたのかしら。
そのうち震えて、あなたはなんの役にも立たないと怒り始めて
しまった。
おかーさん、わるいんだけれど、でかけないと。
かわいそう
がんばってください
落ち着いてください
自暴自棄にならないで
母からラインがどんどん送られてくる。
おかあさんはどうしてその言葉を自分に言わないんだろう。
物がなくなって事件にまでしてしまうのも一種の投影だか
ら、母が母に言葉をむけられるようになるとらくになるの
にと思う。そう思うから言葉を選んで、送信した。
電話。
一度目でない。
二度目も出ない。
三度目。
歩きながら、ヒゲの人に「悪いんだけれど、トイレに行ってい
ると言ってくれないかなあ」「どこの?」「いやだから嘘のト
イレ」
「はい。りかさんは今、トイレに行っていて。はい、トイレで
す」
「切れた」
「ありがとう」
四度目の電話がすぐに着信する。
でもまだかけない。母が母から離れるのを待つ。けれどあんま
り間を置いてもいけない。
「おかーさん、お電話をいただきましたね」
もう怒ってなかった。
それどころか、か細い声で言った。
「別に用事もなかったんだけれど、心細くてね。独占したくな
るの」
その後母は私に何かを言った。その言葉を忘れてしまったけれ
ど、のがさず「おかーさん、それはおかーさんのことではなあ
い?」と言うと、しばらく間があって、「そうね」とこたえた。
ラインの着信音。
「健康、元気、あなたはご立派ですね。体老いると淋しいも
のですね。独占欲が強くなってごめんなさい。気がもめて、
自分が可哀想。頑張ってください」「馬鹿馬鹿しいでしょう」
馬鹿馬鹿しくなんかない。
「そんなことはないですよ。
自分が情けなく思う時は、わたしだって、嫉妬したりしま
す。それが、人間らしいと言うことなんだと思います」
おかーさんが、じぶんとお話ができるようになるといいなあ。
―――――ごはん
朝ごはん
きのう成功の蕎麦粉のガレット、きょう不成功。
自分の感覚より、数字の方を信じてしまった。
クー。
粉物の水分量は日々天気で、変わるのだなあ。

昼ごはん
水餃子用に作った皮は、焼くと、皮が「粒粒」している感じになるのだなあ。

スンドゥブチゲ
と
焼き餃子

夜のごはん
糸蒟蒻の炒め物はもっと頻繁に作ろうと思いました。
おいしい。

夜もスンドゥブチゲ
糸蒟蒻の炒め物
青菜の炒め物


