梅の園

3月1日(土) 晴れ 20-7
3月なんてうそみたい。今年は辰年だから荒れるよと、お正
月に話していたのは、あれは去年だ。でも、同じ頃母が荒れ
ていたのはもっと遠くに感じる。のぶちゃんも、こうちゃん
もほんとうに、すみませんでした。
「兄貴謝ってしまえよ」というのぶちゃんに「何も盗ってな
いんだから絶対に謝っちゃだめ。謝ってくれればそれで済む、
なんていうのは、あり得ない」と、こうちゃんにも「絶対に
謝らないでください。もしそんなことをしたら、それ見たこ
とかとぐいぐい来ますから」とお願いをした。けれど、あっ
ちこっちに電話をしてあの人は泥棒です、謝らなければいけ
ないんです、と言いふれる母にわたしたちは振り回されて疲
弊してたっけ。そして3月に一年半ぶりに帰ったんだったな
ぁ。
遠い目。
夕べ、母からLINEがヒゲの人とわたしにそれぞれ届いて、
それは何か行き詰まると「さようなら、お世話になりました
感謝。ご迷惑をおかけしました。どうぞおいといください」
というような内容で、でもおかあさんはいつも物事の核心に
は触れずに、こうやって話を大きくしてしまう。なのでそれ
には返事をせずに「ごはんおいしかったですか?娘は母さま
に褒められるのを待っています」と通りをよくしてみたつも
りだったけれど「すみません。おあずけ、しています。許可
がおりませんでした」とどこまでも意地を張って、今まで一
度だって許可なんてとったことなんてないくせにそんなこと
を言ううんだなあ。ダンボールはまだ玄関に御かれたまま。
おかーさんはまさか冷蔵庫に入れたのをバレてないと思って
いるのかなあ。
掃除をしながらご飯を炊いた。お昼を過ぎていたから、あっ
ついのを我慢して煮えばなでおにぎりを作っておしのぎにし
たけれど、煮えばなはお茶碗によそってたちのぼる湯気が運
ぶお米の香りと米粒と米粒の間の熱い甘みをたのしむものな
のだなあ。湯気が消えて、がっかりする。
お弁当箱にお昼を詰めて、ジャーにお茶を詰めて、東京タワ
ーの見える梅園までお散歩にゆく。
あったかいなあ。もう春がほんもののよう。
梅の眺められるベンチに座ってお昼にする。隣のベンチのカ
ップルは韓国人の観光客のようでこれからカフェに行くらし
い。モンブラン、クレープ、ジェラート、和菓子、と甘いも
のの名前が次々聞こえる。
今日はあたたかいせいでお祭りのように人が大勢出ていて、
梅のくねった枝の向こうに人の姿が見えると、なんだか幻
みたい。
東京タワー下の沿道に滝があるのは知らなかった。水源はど
こだろうか。長岡安平という方の作品のよう。日本人初のラ
ンドスケープデザイナー。それにしてもこのあたりの妖気っ
て、独特で、ちょっと怖い。山の妖気に似ている。
おかあさんから心細そうな声で電話あり。
夜はまた散歩に出掛けて梅の香りを吸い込みにゆく。
――――――ごはん
朝は
果物とパン


おしのぎのおにぎり

お弁当
新玉ねぎの塩炒めとお肉の組み合わせは
焼肉っぽい味になるのだなあ。

おかあさんに春の写真を送る。
返事はない。


夜は
ハンバーグスパゲティ
焼き芽キャベツとトマト
市場が遠くなったので、季節の野菜はタニ農園さんと、
メルカリでおぎなっています。
無農薬の芽キャベツ500g1100円はありがたいお値段。


