びっくりしたなあ

3月9日(日) 晴れ 14-1ど
今日はのぶちゃんがきてくれる。
おかさんは「呼んだの?」と聞く。
わたしは「おかあさんに会いたいんじゃなあい?」と言う。
ほんとうはお願いしてしまった。電子錠をつけるのはどう
かな心配だよと口をそえて欲しくて。
珍しく母はのぶちゃんにお味噌を買ってきてくれるように
連絡してと言った。もしかすると初めてかもしれない。お
願いができるようになってきたのだなあ。
規則的な包丁研ぎの音が聞こえてくる
ありがたいな、このところ切れ味が落ちてきていたから。
朝は寒かったけれどすこしずつ気温が上がって、久しぶり
のキラキラ、ぽかぽか。
研ぎ上がった包丁は、食卓でギラギラと光を放っておそろ
しいくらいだ。
剪定の見直しをする。
ヒゲの人にオリーブの枝をもう一度ノコで落としてもらい、
切り口を木工ボンドで塞ぐ。レモンの枝も切り戻す。枝に
十分に栄養が行き渡るように、小枝も落とす。
のぶちゃんがやってきた。パンやお弁当を山ほど持って。
「お腹すいたな」と言って二人は穏やかに食事をしている。
おやじやおふくろのことを知っているのはもうおばさんし
かいないもんな、おばさんはおふくろみたいなもんだ、と
言ってくれている。母の気掛かりはお墓のようで、本家の
長男の嫁さんはお墓を守るつもりがないし、長男の骨だけ
出して娘の婿さんたちと他所に入るつもりでいるけれどそ
うはさせない。あの子が先か私が先かこればかりはわから
ない。あの子は腎臓一つないのよ、と聞こえて驚いた。
おかーさんの病気の特徴はなんでも拡大されていくことだ
けれど、そういえば内臓を抜かれたという患者さんもいる
ようで、でもわたしには弱々しいながら二つあるよ、腎臓。
「おかーさんあるよ」と母に言うと「そうだったかい」と
笑っている。
お墓かあ。手を合わせる場所があることはいいことだとは
思う。でもささやかなお印くらいでいいと思う。その方が
うつくしい。肉体は発生して消失するものだもの。けれど
何かしら、そうとはっきりとはわからなかったとしても引
き継がれるものは残ってゆくだろうから。
鍵の話は、のぶちゃんの帰り際、玄関で長い間話し込んで
いた。母は興奮している。どうなるかなあ。
今日は林友子さんの展覧会、最終日。
麻布台まで歩いてゆこうと自然と思うくらいに膝は回復し
ている、ということを、坂を下りながらふと気づく。






慶應大学の裏の大きな木々が並ぶ大好きな坂道を上り、三
井倶楽部や、大使館のある道を抜けて、小さな川を渡ると、
東麻布で、ここには庶民的な下町っぽい空気が流れている。
商店街があるし、店の前に椅子を出して店主と話している
風景なんてもうあまり見られない懐かしさだ。猫もいて、
女の人が好きだと飼い主さんが言ったとたん、ヒゲの人の
方にタタタと駆け寄って、足元にものすごく擦り付けてゴ
ロゴロしている。
もう人に道を尋ねることもなくなったけれど、ヒゲの人は
狸穴方向を聞いている。
坂を上り、坂を下る。生垣の剪定跡が気になる。枝の芯に
何かを塗っているなあ。狸穴あたりから高級住宅街になり、
鼠坂を抜ける。麻布は坂が多いけれど、特にこの小さな坂
はかなりの急勾配でカクッと膝が抜けそうになる。麻布台
のあたり、階段の下の向こうの道に猫がぽつぽつ広がって、
いや、三匹や四匹ではないな。おばさんが餌をやっている。
見にいこうよ、と階段を降りて近づくとおばさんは、やわ
らかなおじさんだった。猫の面構えはみんな野生で、潰れ
たり、ギロリとしていたり、傷を負ったりして、強い。
10匹はいるだろうなあ。いや、もっとだ。猫の集まって
いる家は猫のような窓がついているお屋敷で、ヒゲの人は
窓について尋ねている。ここの猫たちは一匹たりとも緩み
がないなあ。
階段を上がればすぐ麻布台ヒルズがどどーんとそびえてい
るけれど、麻布台らしい懐かしい風景も残っていて、この
辺りはもっと散歩に来たい。それにしても歩けるようにな
って、嬉しい!
ギャラリーSU到着。
林友子展。
麻布十番の浪花屋で休憩。
焼きそばと鯛焼き。
帰り道、スーパーナニワヤで、富強食品の春巻きの皮をみ
つけて小躍りをする。

―――――――ごはん
昼ごはん
味噌ラーメンとチヂミ
チヂミは新玉ねぎとニラ
たしかにチヂミは、曇天の方が合うような気がしてきた。

夜ごはんは
・ビビンバ
散歩の途中、春巻きの皮を探して入った成城石井で求めたナムルで。わたしは納豆入り
・キムチスープ


