記憶
冷凍庫に保存されている半数に見覚えがない。
ガラスの容器に透けて見える白い物はシチューだろうか。
これ私作ったの?とたずねると、そうだろうね僕はしらない
からと言う。
容器を手に持って透かしてみる。私が作ったとすればたぶん
ホワイトシチューだろう。
蓋を開けるとところどころに小さな白い盛り上がりがあり、
こい茶色の点とオレンジ色が埋もれている。
温めると冬が湯気を立てた。
里芋とカリフラワーのホワイトシチュー。
そういえばこれを母の冷凍庫にも送った。
東京に春がやってきて花がひとつほころんだ頃。
きのうの深夜、飛行機から降りると湿気がまとわりついた。
梅雨の季節の口に、これはもう苦しい。

