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日々の皿

ひとり




寝静まるとそっと抜け出した。

コートの下の素足に風が冷たく走り抜けて震え上がる。

頭を空にして歩きながら友に電話をした。

北大の南門の向こうに広がる闇や、辻に浮かぶコンビニの灯り

が夜の底のようで、力が抜けていった。


のぶちゃんには明け方近くに夜食が必要で、何か簡単に口にす

るものを買いにコンビニに入ると、軽い嘔吐が起った。

油のにおい、簡便さ、とても静かで。

東京の自分の台所に立って、包丁を握り、気の入ったものを作

って食べたいと思った。

そのうちそんな望みも消えて疲労が重なるとカップ麺がちょう

どよかった。愛想のないあの食べ物には、隙がない。


東京に戻った翌日の夜に肉を焼いた。


生きながらえている母は学会で発表されるらしい。

明日は写真を選んで病院に送る。


記憶にある味と舌にのる味にくいちがいが現れて、刺してくると

口を苦くしてもいたけれど、グラタン、オムライス、うなぎのお

こわ、穴子の照り焼き、たいてい、これらは母を救った。






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by hibinosara | 2025-06-22 08:37 | Comments(0)