28日 午後 そして朝を迎えた
もう明日はないかもしれない、今日さえも。
誕生日の花とケーキ、そして蝋燭をもって帰りを急いだ。
母は枕元に置かれた花束に頬を寄せて、母の従兄弟たち
とともに母も誕生日の歌をうたって何度もありがとうご
ざいますと声をふるわせて泣いた。
日が落ちて沈んだ青い光がカーテンの向こうをおおいは
じめる頃母は苦しみはじめて、殺してとうめいた。なす
すべもなくただうろたえて、何度でもナースコールをし
た。天井が真っ赤に染まって壁に花が描かれていると母
は怯えた。母が眠りに落ちると、渡された「人のさいご」
を開いて、命が消えたとき、救急車を呼んではいけない
ことを自分に言い聞かせた。目が覚めると母はまた殺し
てと苦しんで、死んでもいいトイレに行くと叫んだ。
それも尊厳だと医師は言った。ナースと母を歩行器に乗
せて運び、ドアの外で手に汗を握って耳を澄ました。
母を見ていた。
朝がやってきて、母は目覚めて身じろぎをした。安堵し
て介護ベッドに顎をのせると、振り返った母はギロリと
鋭く私を睨み、あなたは鬼です、とはっきりした強い声
で言った。

