ホーム蕎麦の絶滅傾向

1月6日
千歳空港は観光客でいっぱいだった。
鼻が高く、背も高い人たちに囲まれてエレベーターに乗った。
JRの改札口も人で溢れていた。指定席を取る。
札幌駅
マイナス5℃
ホームのエレベーターの背中に立ち食い蕎麦屋が建っていて、
湯気と醤油のにおいに誘われる。
たぬきより百円高い天ぷら蕎麦590円。
懐かしい憧れのホームの立ち喰い蕎麦屋。
いつか東京駅の入場券を買って立ち喰い蕎麦をホームに探し
たけれどもう絶滅していた。
「千歳空港行きエアポート快速が6番ホームに入ります」
響く声のアナウンスが聞こえてくる。
店主は無言で券を受け取り、無言で蕎麦に引き替える。
汁は甘く、味は濃く、ゴムのような蕎麦。かき揚げ天
はまあまあ。
満足。旅情。
母のいない母の部屋に帰るのも慣れてきた。
あのなんともいえないいやな感じは消えていて、いい匂い
のするやさしい空気が満ちていて、これはおかあさんだろ
うかと思う。

