グロテスク的なもののパワー
晴天のち雪
豚肉の塊を焼いて、煮卵も作る。
幽庵だれにつけて(ゆずポン酢、醤油、味醂、酒)馴染ん
だところを煮卵と一緒に写真に撮って、今日のおかずの仲
間に入れてやってくださいと、のぶちゃんに送った。
鹿児島XX。母の好きな肉屋の肉だ。一口食べて「これどこ
の肉」と聞かれて、〇〇のと言えば「やっぱりねえ、ここ
のが一番」と満足し、ほかの○○と言えば眉を顰めて「や
っぱりねえ、肉はね〇〇が一番なのよ」と言う。
そのよい方の〇〇の肉の塊の写真を見たのぶちゃんから「
グロテスクだな」と返事があった。
確かに。だって肉だもの。
母をのぶちゃんの車に乗せて宮の森の山を下る頃、予報よ
り早く雪が降ってきた。
松の内ギリギリの今日は七日。
デパートには七草粥のセットが並んでいたけれど、うちは
なだ万の迎春的な折とイカの粕漬け、それから件のグロテ
スクなローストポークと煮卵の食卓。
母は「挨拶するから」と言った。
すっかり寒がりになった母はダウンを着たままネジの緩ん
だ声で「旧年中はいろいろとお世話になり・・・」と述べ
た。食卓には母の病室から連れ帰ってきたネパール君(犬
のぬいぐるみ)が迎春のお札を背中に背負って笑っている。
母は、鹿児島XXのローストポークを一口食べて目を丸く
して「おいしい」と言った。つまみ食いをしたのぶちゃん
からも「うんまいなあ」と喜びのメッセージが届いた。
母は二人分を盛り付けた皿をすっかり自分に寄せて「あな
たのはあるの?」と言った。煮卵もこれおいしいと目を丸
くして、おせちは目の彩りである。

