雪ごもり
吹雪いてはいない。
こんこんと間断なく空から雪があふれ続けている。
「こんなことってないねえ」
母は背中を丸めて窓の外を見ている。
今日は雪がいっぱいでは出かけられないな。
おかあさんって変わらないなあ。
ここはあんたの家じゃないんだから出て行きなさい。
などと言う。
あんまりではないかと怒ると、あんたのためを思って
言ったのよと母はするすると自分から逃れてゆく。
自分の思う通りにならないと泣いて、
殺して!殺してっ!などと言う。
「いやだ」
「川に流されて死ぬ」と暗い声でうつむいてつぶやく。
「おかーさん豊平川は遠いよ」
「車に轢かれる」
「轢いた人が気の毒なことになる」
「だったら腹をこうして」
「はいわかりました。よくキレるのがあります」
もう何百回聞いただろうなあ。
次は飛び降りと言うのかなあと思っていると、
母の気がふっと変わる。
誰かに電話している。

