1月23日

一年は来ていなかったな。
近所のスーパーでひつような分は買えるし、チーズのために
わざわざ出かけるのは面倒で、そうやって、市場からもしぜ
んと遠ざかった。
銀座に出かける用事があり、時間もちょうどよくて、久しぶ
りにガレージセールに出向いた。
ほどよく賑わう懐かしい道。左に歌舞伎座、右に岩手物産館
(ゆべしを買いに入る)。万年橋を渡り東劇前。久しぶりの
築地市場。思わず写真を撮ってしまった。八百屋の女将の背
中だけ見て声はかけず、乾物屋に寄り道をした。わたしを鍛
えてくれた場内は商業施設になるんでしたっけ。白いビニー
ルシートで覆われていた。
勝どき橋を観光客が渡ってくるから、豊洲市場からの流れか
もしれない。ここに住んでみたかったな、と見上げた隅田川
に面した建物がやけにシンとしている。デニーズも空っぽで
、トレードマークの三日月の看板も下げられている。
ここにもタワマンが経つのか。
さびしいなあ。
小腹が減ってきたからパンムラカミがあることを祈る。
あった、ありました。
おかあさんはさらにおばあさんになって、おじいさんは見え
なかった。お会計は変わらずパチパチそろばん。
たまごサンドとエビカツサンドをもらう。250円なり。
私たちが暮らしていた建物は取り壊されて更地になっていた。
今日告知された割にはチーズのガレージセールには人が並ん
でいた。列の後ろについて、しばらくして振り返るとズラー
と、うんと向こうまで、チーズを求める人の長い列ができて
いた。
そういえば、ここに引っ越してきた頃は、猫が門の前でうろ
ちょろする旅館なんていうものがあったのだなあ。急激に変
わりましたね。何もかも。
チーズのガレージセールに慣れきっていた時はお買い得とも
安いともありがたみが薄れていたけれど、今日は、おお、お
お、とカゴに入れる。カマンベール、ブルーチーズ、クリー
ムチーズ、シュレッドチーズ。カゴを山にして、そういえば
猫姫が一度ここに来たいと言っていたことを思い出していた。
帰ると食卓に荷物が置かれて、なんと猫姫から。
肉球ソックス、ウサギのぬいぐるみ、ふりかけ、干し芋に懐
かしい動物ビスケット。保湿クリームに日焼け止めファンデ
ーション。肌のことまで想ってくれてありがとう。
夜は鶏そぼろ丼
京都の浜作さんの作り方で。
鶏ひき肉500gに酒2カップみりん1/2と大変に贅沢
だけれど、一度はやってみないと。
お砂糖と醤油とたまり醤油も加えます。
ほかに八つ頭のスープと白菜漬け。

1月22日

今日はひでちゃん(叔父)の月命日だ。
おかあさんと去年の夏、病院の屋上に上がったときに空
を指さして「そうそうあのくらい大きな雲が樺太の空に
浮かんでいたの。ひであきがね「あれに乗ったら北海道
まで行っておかあちゃまに会えるかなあ。あの雲がいい
かなあ」ってね。わたしはあれに乗る。おかあちゃまの
ところに速く着くかなって。そうやって雲を見上げてね、
空想でかくれんぼしたりしてね」と。
わたしの脳裏に、樺太の青い沿岸に小さな姉弟が母親を
慕って北海道に運んでくれる雲を選んでいる光景が浮か
んできた。
おかあさんは英明のことをよく話す。英明が一番可哀想
だったと言うけれど、一番気の毒だったのはわがままも
できない母ではないのかな。
今日はひでちゃんに何か甘いものをお土産にしようと思
っていたのに忘れてしまった。

帰ってきて、干肉を取り込んだ。
まだ1週間しか経ってないけれど、もういいと思う。
これ以上干すとビーフジャーキーになってしまう。
山椒の木に見つめられているような気がしてふと目をや
ると、小さな新芽出している。春が来ているのだなあ。
朝は今冬最後の田舎のお餅。
卓也さんは堪能したようだけれど、私は札幌に帰ってい
たからあんまり食べてない。
やはり、杵と臼が必要であろう。
磯部巻きが大好きです。
こんがり焼いたお餅ににじんだお醤油、そして海苔の香り。

昼はお弁当。
鶏のひき肉をこねて種を作ってチルド室に置けばしばらく
持つ。揚げたり、つくねにしてスープに入れたり。今日は
焼いてつみれの照り焼きを作った。
卵は入れない。
水、酒、長ネギ、生姜、片栗粉、醤油を少々


夜は
干肉を炒めてラーメンにする。
ラー油との相性がとてもよい。


1月21日
干肉はベランダの日陰でもうずいぶんいいようになって
きたように思う。2週間なんて干したら乾物になってし
まうのではないかなあ。ナイフで薄く削いで味見をして
みる。
うまい
旨みが濃い。余韻が長い。
生のままでも十分においしいいけれど、ちょっと炙った
らどうなるだろう。
色の濃い赤いワイン。泡盛。日本酒なら古酒や濃口純米
酒の熱燗。どれも合いそうだなあ。
朝は焼き芋と柚子ジャムのホットク。
ジャムが足りなくて追加する。

昼は冷凍しておいたラグーでパスタにする。
もう一袋あるから、この冬最後のラザニアにしようかな。

。
白菜を陰干しにして、この冬最後に(どうしてか最後好き
)なるかもしれない、白菜漬けを作ります。
うちは一度目につける時の塩が2%。重しは白菜の約2倍。
1カップの水を足して呼水にします。
白菜より上にすっかり水が上がったら、水気を絞って0.5
%の塩で本漬けにします。
最初のうちは昆布や鷹の爪を入れていたけれど、今は塩だ
け。ある時に柚子を入れるくらいです。
そして、本漬けの重しは白菜と同量に近い塩袋を作って、
白菜が減るたびに軽くします。
白菜は2キロから2キロ半なので、塩の袋は1キロを一つ
500gを二つ作ります。
重しは白菜漬けの味にかなり作用するようです。

1月20日
ここ数日暖かくて蝿も飛ぶようになり、もう白菜漬けも
終わりかと思っていたけれど、よかった、まだ暦は生き
ている。
大寒らしいピリリとした風。
朝はきのうの焼き芋に味醂を加えて、ホットクの餡にす
る。
昼は長らく冷凍庫で眠っていたハンバーグ。
トマトケチャップを黒っぽくなるまで炒めてコクを出し、
ハンバーグに加え、味を整える。
母のために求めた真空パック機だけれど、これはいいも
のなのだなあ。母が倒れる前、母に送るために去年の早
春に作ったハンバーグの味にほとんど劣化を感じない。


1月19日
札幌に帰っている間にちゃんと鏡開きをしてくれていた。
そのカチカチのお餅を米油で揚げます。大きいカケラは
火が通ってきたところで、キッチンバサミで小さくしま
す。
揚げたてにお醤油と海苔。香ばしくてしあわせ。
今年から小正月の豆餅が届かなくなりました。
1月15日のお焚き上げと同じで、そろそろなくなるの
だろうなあと数年前から感じていました。
お義姉さんももうそれなりの年齢だから、お疲れなのだ
ろうなあ。
そうやって少しずつ変わっていく。
杵と臼が欲しい。

出かける前にさつまいもをオーブンに入れてゆく。
帰ってくるとぷうんと焼き芋ににおいに迎えられるの
っていい。
台所の方法をすこしずつ変えています。
常備菜は台所に立っている時間を短縮してくれるけれ
ど苦手だから、展開できる素を持って、その都度新し
くなる味がいい。
展開料理という言葉がどこからきているのか調べると、
辰巳芳子さんだった。そうか。辰巳さんの言葉だった
か。そういえば彼女の展開料理という本を持っている。
いつか阿川佐和子さんのトーク番組で「どうして展開
料理が普及しないのだろう。あれほど楽になる方法は
ないのに」と実に悩んでいる表情の辰巳さんを、阿川
さんがやさしい瞳でじっと見ていた
そう。こんなことを言ったら辰巳さんは激怒すると思
うけれど、展開するにはある程度経験が必要。インプ
ロビゼーションと同じで、展開してゆけるだけのフレ
ーズを持って、しかも組み合わせられないと変えてい
けない。遠くまで行ける肺活量も必要になってくるし。
その本を買った頃、辰巳さんに倣いたい気持ちがあっ
ても、言葉が辛くてわたしには無理と閉じてしまって
いた。そこまで言わなくてもよかろうと思っていたけ
れど、今はどれだけ本気で真剣だったのかわかるよう
な気がしています。
それに時代もある。1920年代生まれは魅力的だけ
れどなぜか独特な毒があって。
今日は今年最初の新月。
玄関でシナモンを焚く。

